犬の斜視は、飼い主にとって見た目が気になる症状の一つです。しかし、犬 斜視には先天性のものと後天性のものがあり、
原因や治療の必要性が異なります。
この記事では、犬の斜視の種類や原因、症状、治療法などについて詳しく解説します。子犬の斜視と成犬の斜視の違いや、
トイプードルやダックスフンドなど特定の犬種に多い先天性の斜視の特徴についても触れています。
また、斜視に伴う複視や混乱視などの症状や、脳腫瘍、前庭疾患、水頭症など斜視の原因となる主な病気についても
説明します。
愛犬に斜視が見られた場合の対処法や、治療の必要性についても解説しているので、犬 斜視でお悩みの飼い主さんは
ぜひ参考にしてください。
この記事のポイント
・犬の斜視の種類と原因について理解できる
・子犬の斜視と成犬の斜視の違いについて理解できる
・犬種ごとの斜視の特徴について理解できる
・斜視に伴う症状と治療の必要性について理解できる
犬が斜視になる理由とは?先天性と後天性の違い
・先天性の斜視の原因は遺伝や犬種の特徴
・後天性の斜視は病気やけがが原因のことも
・子犬の斜視に見える目は成長とともに改善することも
・トイプードルやダックスなど特定の犬種に多い先天性斜視
・シェットランド・シープドッグのブルーマールに多い内斜視
先天性の斜視の原因は遺伝や犬種の特徴
先天性の斜視は、生まれつき斜視の状態である犬に見られます。
その原因は、遺伝的な要因や特定の犬種に多い特徴によるものです。
毛色や体長の特徴と同じように、遺伝子によって目やその周辺の構造が決められていることが理由とされています。
例えば、顔の骨格が原因となる場合は外斜視が発生しやすくなります。
眼窩のサイズが小さく、本来は中に収まるはずの眼球が押し出されてしまうためです。
そのため、パグやキャバリア、ブルドッグ、ペキニーズなど、眼球が大きい犬種に起こりやすいと言われています。
また、チワワやポメラニアン、トイプードルなどの小型犬にも先天性の外斜視が多く見られるのが特徴です。
後天性の斜視は病気やけがが原因のことも
一方、後天性の斜視は、成長期や成犬になった後に発症するケースを指します。
その原因は、骨格の変化もしくは病気・けがのどちらかであることがほとんどです。
骨格の変化が理由の場合は、先天性の場合と同じく病気ではありません。
しかし、病気やけがが原因である可能性もあるため、注意が必要です。
愛犬に斜視が見られた場合は、動物病院で診断を受け、治療が必要かどうかを見極めることが大切だと言えるでしょう。
子犬の斜視に見える目は成長とともに改善することも
子犬の目は、成長の過程で斜視のように見えることがあります。
これは、眼球や顔の筋肉がまだ未発達であるためです。
多くの場合、子犬の斜視は一時的なもので、成長とともに自然に改善されていきます。
ただし、数ヶ月経っても改善が見られない場合は、先天性の斜視の可能性があるので、獣医師に相談することをおすすめします。
子犬の斜視に見える目は、見た目の問題だけでなく、視力にも影響を及ぼす可能性があるため、注意深く観察することが大切です。
トイプードルやダックスなど特定の犬種に多い先天性斜視
先天性の斜視は、特定の犬種に多く見られる傾向があります。
代表的な犬種としては、トイプードルやダックスフンドが挙げられます。
トイプードルは、その小さな体格と丸い眼球が特徴的ですが、眼球が眼窩からはみ出しやすいため、外斜視になりやすい傾向にあります。
一方、ダックスフンドは、長い体型と短い脚が特徴ですが、頭蓋骨の形状が原因で内斜視になりやすいと言われています。
その他にも、チワワ、ポメラニアン、パグ、キャバリア、ブルドッグ、ペキニーズなど、小型犬や短頭種に先天性の斜視が多く見られます。
これらの犬種を飼育する際は、斜視の可能性を理解した上で、定期的な健康チェックを行うことが大切です。
シェットランド・シープドッグのブルーマールに多い内斜視
シェットランド・シープドッグの中でも、ブルーマール(シルバーの斑模様)の毛色を持つ個体に、内斜視が多く見られます。
この特徴は、網膜や眼神経の構造に関連する遺伝子が原因とされています。
ブルーマールの個体では、網膜や眼神経に異常をもたらす遺伝子により、目で見た情報が正常に脳に伝達されにくくなります。
その結果、視野を安定させるために、眼球が内側に寄った状態(内斜視)になると考えられています。
ただし、内斜視であっても、日常生活に大きな支障をきたすことは少ないようです。
むしろ、ブルーマールのシェットランド・シープドッグの魅力的な特徴の一つとして捉えられることもあります。
飼い主としては、内斜視による見えにくさなどに配慮しつつ、愛犬の個性を受け入れることが大切だと言えるでしょう。
犬の斜視の症状と治療の必要性について
・斜視の犬は複視や混乱視などの症状が出ることも
・遺伝性の斜視は治療の必要がないことがほとんど
・後天性の斜視は病気のサインの可能性あり
・斜視とともに他の神経症状がある場合は要注意
・斜視に伴う主な病気は脳腫瘍、前庭疾患、水頭症
・脳腫瘍は初期症状として痙攣発作や眼振がみられる
・前庭疾患は眼振や旋回運動などバランス異常の症状が特徴
・水頭症は外腹側斜視や頭部の形状変化などの症状も
・斜視の治療法は原因によって異なる
・犬の斜視:総括
斜視の犬は複視や混乱視などの症状が出ることも
犬が斜視になると、目の焦点が合わせづらくなることで、様々な症状が現れることがあります。
代表的な症状としては、複視(物が二重に見える)や混乱視(二つの物が同じ位置に見える)などが挙げられます。
こうした症状が出ると、犬は視界を改善しようと片目を閉じたり、頭を傾けたりする行動を取ることがあります。
また、視界が悪いために、歩くスピードが遅くなったり、障害物にぶつかったりするなど、行動面での変化が見られることもあります。
飼い主は、愛犬の目の動きや行動の変化に注意を払い、斜視による影響がないかを観察することが大切です。
症状が重度である場合や、日常生活に支障をきたしている場合は、獣医師に相談し、適切な治療を受けることをおすすめします。
遺伝性の斜視は治療の必要がないことがほとんど
先天性の斜視、つまり遺伝が原因となっている斜視の場合、多くは治療の必要がないとされています。
生まれつきの眼球の構造や位置によるものであり、病気ではないためです。
ただし、斜視の程度が強く、複視や混乱視などの症状により、日常生活に支障をきたしている場合は、獣医師に相談することが大切です。
症状に応じて、適切なケアや環境調整などを行うことで、愛犬の生活の質を改善できる可能性があります。
先天性の斜視は、犬の個性の一部と捉え、受け入れることも大切だと言えるでしょう。
後天性の斜視は病気のサインの可能性あり
後天性の斜視、つまり成長後に発症した斜視の場合は、病気が原因である可能性があります。
特に、突然斜視が現れた場合や、片目だけに斜視が見られる場合は要注意です。
後天性の斜視を引き起こす代表的な病気としては、脳腫瘍、前庭疾患、水頭症などが挙げられます。
これらの病気では、斜視以外にも様々な症状が現れることがあるため、総合的に判断する必要があります。
愛犬に後天性の斜視が見られた場合は、速やかに獣医師に相談し、適切な検査と治療を受けることが大切です。
早期発見・早期治療により、病気の進行を抑え、愛犬の健康を守ることができます。
斜視とともに他の神経症状がある場合は要注意
斜視に加えて、他の神経症状が見られる場合は、特に注意が必要です。
例えば、痙攣発作、運動失調、意識障害などの症状が現れた場合は、脳に何らかの異常がある可能性が高いと言えます。
こうした症状が見られた場合は、速やかに獣医師に相談し、MRIやCTなどの画像検査を受けることをおすすめします。
検査結果に基づいて、適切な治療方針を決定することが大切です。
神経症状を伴う斜視は、脳腫瘍や水頭症など、重篤な病気のサインである可能性があります。
愛犬の様子に変化があった場合は、躊躇せずに獣医師に相談することが、早期発見・早期治療につながります。
斜視に伴う主な病気は脳腫瘍、前庭疾患、水頭症
犬の斜視に伴う主な病気としては、脳腫瘍、前庭疾患、水頭症が挙げられます。
これらの病気は、脳や神経系に異常をきたすことで、斜視を含む様々な症状を引き起こします。
脳腫瘍は、脳内に腫瘍ができることで、正常な脳機能に障害をもたらします。
前庭疾患は、内耳の平衡感覚を司る器官に異常が生じる病気で、めまいやふらつきなどの症状が現れます。
水頭症は、脳脊髄液の循環障害により、脳室が拡張する病気です。
これらの病気では、斜視以外にも、痙攣発作、運動失調、意識障害など、様々な神経症状が現れることがあります。
愛犬に斜視と共に、これらの症状が見られた場合は、速やかに獣医師に相談することが大切です。
脳腫瘍は初期症状として痙攣発作や眼振がみられる
脳腫瘍は、犬の脳内に腫瘍ができる病気で、斜視の原因となることがあります。
初期症状としては、痙攣発作や眼振(眼球が不随意に動く)などが現れることが多いです。
痙攣発作は、脳腫瘍により脳の一部が刺激されることで引き起こされます。
発作の際は、意識を失ったり、手足を痙攣させたりすることがあります。
眼振は、脳腫瘍が前庭神経(平衡感覚を司る神経)に影響を及ぼすことで生じます。
眼球が左右や上下に不随意に動く症状で、めまいやふらつきを伴うことがあります。
脳腫瘍は、早期発見・早期治療が予後に大きく影響します。
愛犬に痙攣発作や眼振が見られた場合は、速やかに獣医師に相談し、適切な検査と治療を受けることが大切です。
前庭疾患は眼振や旋回運動などバランス異常の症状が特徴
前庭疾患は、内耳の平衡感覚を司る器官に異常が生じる病気で、斜視の原因となることがあります。
この病気の特徴は、眼振や旋回運動(円を描くように歩く)など、バランス異常に関連する症状が現れることです。
前庭疾患では、内耳の平衡感覚が正常に機能しなくなるため、めまいやふらつきを感じます。
そのため、犬は歩行時にバランスを崩したり、頭を傾けたりすることがあります。
また、前庭疾患による眼振は、脳腫瘍の場合と同様に、眼球が不随意に動く症状です。
ただし、前庭疾患の場合は、眼振の方向が一定(水平方向や回旋方向)になることが多いとされています。
前庭疾患は、早期治療により症状の改善が期待できる病気です。
愛犬にバランス異常や眼振が見られた場合は、獣医師に相談し、適切な治療を受けることをおすすめします。
水頭症は外腹側斜視や頭部の形状変化などの症状も
水頭症は、脳脊髄液の循環障害により脳室が拡張する病気で、斜視の原因となることがあります。
この病気では、外腹側斜視(眼球が外側に向く)や頭部の形状変化などの症状が現れることが特徴です。
水頭症では、脳室内に脳脊髄液が過剰にたまることで、脳が圧迫されます。
その結果、脳の構造や機能に異常をきたし、様々な神経症状が現れます。
外腹側斜視は、脳の圧迫により眼球が外側に向く症状です。
頭部の形状変化は、脳室の拡張により頭蓋骨が変形することで生じます。
特に、頭頂部が膨らんだり、額が突出したりすることがあります。
水頭症は、先天性(生まれつき)と後天性(後天的に発症)に分けられます。
先天性の場合は、早期の外科的治療が必要となることが多いです。
後天性の場合は、原因となる病気(脳腫瘍など)の治療と併せて、脳室ドレナージ術(脳室内の液体を体外に排出する手術)などを行うことがあります。
愛犬に外腹側斜視や頭部の形状変化が見られた場合は、水頭症の可能性を考慮し、獣医師に相談することが大切です。
早期発見・早期治療により、症状の進行を抑え、愛犬のQOL(生活の質)を維持することができます。
斜視の治療法は原因によって異なる
犬の斜視の治療法は、原因となる病気によって異なります。
先天性の斜視の場合は、多くの場合、治療の必要はありません。
一方、後天性の斜視の場合は、原因となる病気の治療が必要となります。
脳腫瘍が原因の場合は、外科的切除や放射線療法、化学療法などを行います。
腫瘍のタイプや進行度に応じて、適切な治療法を選択することが大切です。
前庭疾患が原因の場合は、抗めまい薬や抗炎症薬などの投与により、症状の改善を図ります。
また、前庭リハビリテーションを行うことで、バランス機能の回復を促すこともできます。
水頭症が原因の場合は、脳室ドレナージ術により脳圧を下げる治療が行われます。
先天性の場合は、早期の外科的治療が必要となることが多いです。
斜視の治療に際しては、原因となる病気を正確に診断し、適切な治療法を選択することが重要です。
獣医師と相談しながら、愛犬に最適な治療を行うことが、症状の改善や予後の向上につながります。
犬の斜視:総括
・犬の斜視には先天性と後天性があり、原因が異なる
・先天性の斜視は遺伝や犬種の特徴が原因で、治療の必要はないことが多い
・後天性の斜視は病気やけがが原因のことが多く、治療が必要な場合がある
・子犬の斜視は成長とともに改善することが多いが、数ヶ月経っても改善しない場合は先天性の可能性がある
・トイプードルやダックスフンドなど特定の犬種では先天性の斜視が多く見られる
・シェットランド・シープドッグのブルーマールでは内斜視が多い
・斜視の犬は複視や混乱視などの症状が出ることがある
・斜視とともに痙攣発作や運動失調などの神経症状がある場合は要注意
・斜視に伴う主な病気は脳腫瘍、前庭疾患、水頭症である
・脳腫瘍の初期症状として痙攣発作や眼振がみられることがある
・前庭疾患は眼振や旋回運動などバランス異常の症状が特徴
・水頭症は外腹側斜視や頭部の形状変化などの症状も見られる
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